前野健太「ファックミー」
前野健太は非常に現代的な音楽家だと思う。
僕と学年が同じ79年生まれの彼の音楽―曲調や佇まいは90年代っぽい雰囲気に通じるものがありながら、歌詞や演奏、エモーショナルな歌い方は2011年現在の音楽のスタイルだなと感じる。
新しく出たアルバム「ファックミー」の中に入っているコーヒーブルースの一節、個人の心情と街の風景の両方に存在する閉塞感を的確に切り取った、このフレーズにたまらない気持ちになり、繰り返し何度も聴いている。
窮屈な体 窮屈な心
服はユニクロ 明日は今日と同じ顔
夜のコクピット 駅前は難民所
マック 服は真っ黒け
燃えない時代の香り
僕が欲しいのは 僕が欲しいのは
僕が欲しいのは 一杯120円のコーヒーブルース
前野健太の歌詞は抽象的な表現が無く、写実的な表現の中に詩的な描写があり、且つスナップ写真のような飾りのないストレートさもあっていい。青さのある声質は20代の豊田道倫に近いものを感じるが、胸を掻きむしられるような力強いシャウトは独特で、総じてとてもポップな音楽だと思う。
新宿と高円寺でやったインストアイベントには100人近い人が集まり、イベント終了後のCD即売・サイン会にはHMVやタワーレコードでも見た事ないような長い列が出来ていた。今まさに必要とされている音楽なんだと思った。
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