那覇2 - 桜坂のおでん

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朝一で高速フェリーに乗り、激しく揺られて泊港まで戻り那覇市街を歩く。

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県庁前からブラブラと北上すると辻町という風俗街に差し掛かる。
王朝時代は遊郭、今はソープランド街として知られている(らしい)由緒ある風俗街だと後で知った。
人気のない閑散とした昼間のソープ街を抜けて、さらに北に行くと住宅街と高架道路に挟まれた小さな砂浜があった。
砂浜の真ん中では5,6人の上半身裸の中学生らしき男子がビーチサッカーに興じていて、
それを少し離れたところで同じ年頃の女の子たちが横目で見ながら、何かを物色するようにひそひそ話をしていた。
なんだか眩暈のする光景だった。


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夕方になり日も暮れたころ、国際通りのはずれにある桜坂まで歩き、「悦ちゃん」というおでん屋に入った。




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「悦ちゃん」の扉は常に施錠してあって、客がノックすると中から女将さんが明けてくれるという一見さんにはハードルの高い雰囲気のある店だが、
お店を一人で仕切るする女将さん(a.k.a 悦ちゃん)はとても気さくで、泡盛と沖縄のおでんを適当に見繕ってくれる。

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沖縄のおでんはてびち(豚足)が入っていて、一般的なおでんが鰹節や昆布がベースのあっさりした出汁であるのに対して、
豚足から出るコラーゲンに独特の獣臭さがあり、非常にコクのある味なのが特徴だ。
繊細な薄味だしのおでんもいいが、こういう豪快な味のおでんも好きだ。なにより、その土地の酒(泡盛)にあうのが良い。
おまかせでおでんを見繕ってもらい、てびちや卵、がんもや豆腐や青菜をつまみながら、徳利になみなみと入った泡盛を氷で割って飲む。てびちの脂が甘みのある泡盛ですっきりと流れ、胃の底が熱くなる。


阿嘉島でもそうであったように、那覇もオフシーズンであることに加え地震直後だったせいか、通りも店も閑散としていて、お店も自分以外に入ってくる気配は全くない。
店にいる間、暇すぎる事もあってか悦ちゃんはが色んな事を話してくれた。
沖縄に来た際に必ず遊びに来てくれる仙台の常連さんがいる事、
その常連さんが震災で壊滅した地域に住んでいて、以前に交換した電話番号を頼りに電話をかけても全くつながらない事、
いても立ってもいられず、沖縄の野菜を現地に送ろうと運送会社にお願いしようとしたら、物流自体が麻痺していて送れないと言われた事、
仕方ないからコンビニで買い物した時はおつりをレジ横にある募金箱に入れてる事。

「連絡がこない以上、今は生きていると信じて待つしかない」とか気休めみたいなことしか言えなかった。
あれから一か月経ったが、被災した常連さんとは連絡が取れたんだろうか。

話は次第に悦ちゃんの事からこちらの事になり、沖縄にこのタイミングで来た理由や東京の事、家族の事など話しているうちに泡盛を4合も飲んだせいか、
かなり酩酊してきて、言わなくてもいいことを随分ベラベラ喋ってしまったような気がする。
そうして宿に帰る前に記念に写真を撮らせてもらい、次は妻も連れて再訪することを約束してふらふらになりながら店を出た。


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